採用で失敗したら会社が傾く理由その1~お金編
人事採用コンサルタントの稲田です。
今日は、採用で失敗すると、どれほど大きな損失を生むかということに関して、ご説明したいと思います。
採用に失敗すると、大きく4つの点で会社にマイナスがあります。
まず1つ目は当然ながら「お金」です。
採用の失敗による損失:お金
私がセミナーや講演でよくする質問があります。採用で失敗したら、金額的には大体いくらぐらいの損失を出すと思いますか?
私がこういった質問すると、多くの経営者はこう答えます。
「金額的な損失は、大体採用した人の給与もしくはボーナス」と。
ところが、これは大きな間違いです。
給与やボーナスだけであれば、もともと黒字を出していた会社なら、すぐに立ち直れます。
そもそも採用活動を始めているという時点で、本来は黒字だったんです。
給与とボーナス、この損失だけで、会社が赤字に転落するということは、通常ありえません。
採用の失敗は、金額的にいくらくらいの損失を出すと思いますか?
是非一度真剣に考えてみてください。
スタッフを採用することで、会社にかかる経費は給与だけではありません。
20万円の給与を支払う社員を採用して、「20万円×12ヶ月分=240万円」とはなりません。
それにプラスして、ボーナスを年間100万円払ったとしましょう。
その場合は、「240万円+100万円=340万円」これだけ用意していればいいかというと、そうではありません。
では、実際にどのような経費がかかるのかを簡単にご説明します。
次の3つの経費がかかります。
- 給与
- 給与にかかる諸経費
- 諸経費
採用によってかかる経費1:給与
まず1つ目は「給与」。こちらは当然かかってきます。
採用によってかかる経費2:給与にかかる諸経費
次に考えなけれなばならないのは、次のような「給与にかかる諸経費」です。- 通勤交通費
- 労災保険料
- 雇用保険料
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 介護保険料
- ボーナス
そして、労災保険料。これは給与に一定の率(会社の業種により異なる)をかけた金額が徴収されます。
さらに、雇用保険料。こちらも給与に一定の率をかけた金額が徴収されます。
そして、健康保険料、厚生年金保険料、さらに、採用した人が40歳以上であれば、介護保険料もかかってきます。
これらは社会保険料と呼ばれるものです。
すべての社会保険料は、給与が高くなればなるほど、保険料も上がっていきます。
労災保険や雇用保険に関しては、それほど高いものではないのですが、健康保険、厚生年金、介護保険に関しては、非常に高いです。
実際、社会保険料というものは、従業員と会社で折半します。
従業員の給与から天引きし、それに会社が払う分を足して、国に納めます。
これは、かなりの金額になります。
さらに、ボーナスにも同じように社会保険料がかかってきます。これら全部です。
会社の業種で保険料は違いますし、加入している健康保険(組合、医師国保など)によって保険料は変わってきます。
それなので、一概には言えませんが、給与とボーナスを合わせた年収の1.3倍ほどが、毎年その人の人件費としてかかると考えておくといいでしょう。
先程の例では、給与が20万円、ボーナスが100万円でした。
この場合だと、給与とボーナスを合わせると年間で340万円になりますが、これを1.3倍しますと、442万円になります。
具体的には、給与計算担当者などにお尋ねください。
大体あなたの業種であれば、1.何倍すればいいのかを。
大事なことは、まず採用を決めた瞬間に、給与以外に保険料や通勤交通費などの経費がかかってくることを必ず覚えておいてください。
ただし、これは採用に成功しても同じようにかかる費用です。
採用によってかかる経費3:諸経費
その他にもいろいろな経費があります。諸経費として考えられるものをご紹介します。
もちろん、これは会社によって違いますから、あらゆる会社でかかるわけではありません。
- 名札、制服、ネームプレート
- 机、椅子、文房具
- パソコン、ソフト
- 電気代、水道代
パソコンも以前働いていた方のものを使うかもしれませんが、新しく購入して使うのであれば、費用が発生します。
ソフトは、マイクロソフトのオフィスのアカウントを1つ増やすだけで、年間のライセンス料が必要です。
人が1人増えることで、電気代も増えますし、トイレも使うので水道代も増えます。
しかし、これらの経費はそれほど大きな金額ではありません。
最初に1度お金を払ったら終わりというのものがほとんどです。
先程も言いましたが、これらの費用は採用に成功しても、必ずお金がかかります。
採用の失敗による損失とは?
ところが、もし採用した人が、1人分の仕事ができない場合、つまり、もう1人別の人も雇わなければならなくなった場合はどうでしょう?当然ながら、人件費が余計にかかります。
別の人を雇わないとしても、採用した人ができなかった仕事、終わらなかった仕事に関しては、他の社員がカバーすることになりますので、結果として、残業の増加が起こります。
まず覚えてもらいたいことは、採用の失敗は「給与やボーナスだけではない」ということです。
最低でも、その1.3倍はかかると覚えておいてください。
ただし、こういった給与とか備品とか、金額として計算しやすい、目に見えるものだけが、採用に失敗による損失ではありません。
採用の失敗による本当の損失とは、このように簡単に計算できる、目に見えるものではなく、実際には目に見えないもの、簡単に計算できないものです。
ここに本当の採用の失敗による損失があります。
これらに関しては、次回ご説明いたします。
まず今日覚えていただきたいのは、給与+ボーナスに約1.3倍した金額がかかっていることを覚えておいてください。
この内容は、私が運営しているYouTubeチャンネルでもお話ししています。