採用で失敗したら会社が傾く理由その2~目に見えないもの編
最終更新日:2023/03/17
人事採用コンサルタントの稲田です。
採用に失敗すると、大きく4つの点で会社にマイナスがあります。
1つ目の「採用で失敗したら会社が傾く理由その1~お金編」をまだご覧になっていない方は、まずはそちらをご覧ください。
その後、またこのブログに戻ってきてください。
今日は「採用の失敗における損失」の2つ目、「目に見えないもの」に関して、ご説明したいと思います。
採用の失敗による損失:目に見えないもの
採用を失敗することで起こる損失で、目に見えないものは、次の4つです。- 入社手続き
- 教育担当者の負担
- 退職手続き
- 退職によるモチベーションの低下
目に見えない損失1:入社手続き
前回ご説明した「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」といった保険料は、スタッフを採用すると必要になってきますが、そもそもこのような保険を適用させるためには、保険の取得手続きが必要です。それなので、スタッフを採用した場合は、必ず入社手続きというものが必要になってきます。
例えば、労働者名簿の作成とか、先程言った労働保険・社会保険の取得手続き、このようなものが発生します。
その他、パソコンの準備、名刺の発注、机などの準備、これらも全部そうです。
このような手続きをする人ですが、入社手続きだけで1人専門に雇うということは、普通していないと思います。
ですから、そのスタッフが入社手続きをしている間は、他の仕事ができません。
つまり、それは売上の減少につながります。
目に見えない損失2:教育担当者の負担
そもそも会社に入社してすぐに仕事ができる人って、当然ながらいませんよね?必ず、社長や上司、先輩社員が仕事を教える必要があります。
ちょっとここで考えてみてください。
先輩社員が仕事を教えている間、先輩社員は会社の売上を削って、新入社員を教育しているんです。
当たり前ですよね?
自分の時間を使って教育をするわけです。
本来、先輩社員は自分でお金を稼いでいたはずなんです。
ところが、その時間を削り、それを教育にあてています。
もし先輩社員が、売上を減らさずに教育するためには、先輩社員が自分の仕事をすべて100%片づける必要があります。
「教育もしながら全部片づけろ」ということですから、当然ながら時間が足りません。
その場合、足りない時間をどうすればいいか。残業しますよね?
残業代も当然発生しますし、当然ながら労働時間もすごく長くなりますから、先輩社員にストレスもかかっていきます。
人件費も当然ながら増えます。
その中で、もし採用した人があまり賢くなくて、物覚え悪く、なかなか教育しても育たなかった場合、さらにストレスもかかってきます。
そして、会社の規模によっては、先輩社員がいなくて上司が教えたり、経営者が直接教えるということもあるかもしれません。
教育の場合は、当然ながら、先程言った「教育の時間」「売上の減少」「ストレス」の3つがかかってきます。
上司・経営者の場合は、教育以外にも、「評価」「面談」も起こります。
仕事の評価をしなければ、当然ながらその従業員がちゃんと働いたかどうかわかりませんので、その人を見る時間というのはありますよね。
こういった時間を使っているということを、必ず考えておく必要があります。
ここまで、それぞれが自分の身を削って教えた新入社員この人に、もし3ヶ月で退職された場合、どう思いますか?
教えたことすべて無駄。使った時間がすべて無駄です。
そして、新しい人がまた入ってきました。
その方にも、また同じく教育をしなければいけません。
同じように、このような時間と労力を使います。
そしてもし、その人がまた退職したらどうなりますか?
また新しい人が入ってくる。その人に教える。また辞められる。
それをずっと繰り返す。
もし、あなたが教育担当である先輩社員だった場合、どう思いますか?
社長の採用力を疑って、信頼できなくなりますよね。
そもそも中小企業というのは、1度に多くの社員を採用する力はありません。
会社の規模からいっても、50人採用、100人採用を毎年やっている会社は、普通はありませんね。
ある場合は、よほど離職率が高い会社でしょう。
そもそも採用した1人1人に、まず教育担当が必要です。
基本的にはこの教育担当の売上は、下がると思ってください。
時間を教育に割くわけですから。
ちょっと考えて欲しいんですけど、例えば、30人しかいない会社で、1度に10人採用しましたといった場合、教育担当が10人必要ですよね?
「いやいや、1人で10人教えるよ」という風な考えがあったら、それは気をつけてください。
そんなことは不可能です。
もし、この30人の会社で10人採用して、教育担当に10人つけた場合、教育担当者の影響によって、会社の経営は当然傾いていきます。
大事なのは、採用においては、必ず「教育担当者の負担」を常に頭に入れておく必要があります。
人を採用して、すぐ使えるということは、まずありえませんから。必ず。
新卒は当然のこと、中途採用であっても教育が必要です。
採用に失敗するたびに、その教育時間が無駄になったというのを、常に頭の中に入れておきましょう。
目に見えない損失3:退職手続き
採用に失敗して、せっかく採用した人が辞めた場合、退職の手続きがあります。こちらは入社と逆ですよね。
労働保険・社会保険を取得したので、今度は保険の喪失とか、離職票とかいろいろ事務手続きがあります。
もし、その人が退職しなかったら、ここに使う時間や労力、お金というのは、本来は必要ないものだったんです。
ですから、すべて無駄です。
目に見えない損失4:退職によるモチベーションの低下
お金とか労力だけではありません。本当に1番危険なのは、「スタッフのモチベーションの低下」です。
そもそも、入社した人が自分の会社をすぐに辞めるのを見て、モチベーションが上がるスタッフはいますか?いませんよね?
次々入ってきて、次々辞めていく。
入っても必ず1ヶ月くらい、もしくは2ヶ月3ヶ月で辞めていく。
教育担当もそうですが、教育担当以外であっても「また辞めた」「また辞めた」と。
モチベーションは当然ながら下がっていきます。
この下がったモチベーションですが、これを回復させるのはすごく難しいです。
ですから、採用に失敗すればするほど、「社内の従業員満足度」も下がっていくと思ってください。
採用の失敗による損失
こういった採用の失敗の損失で、前回お話しした「お金」しか見ていないようだと、これも当然、話になりません。今日お話しした「目に見えないもの」として、「入社手続き」、特に「教育担当者の負担」、「退職手続き」と「退職によるモチベーションの低下」を是非考えてください。
採用の失敗が、いかに会社にマイナスを与えるかというのはよく分かってくると思います。
採用の失敗における損失の3つ目と4つ目がまだ残っています。
これに関しては、次回ご説明していきたいと思います。
是非次回もご覧ください。
この内容は、私が運営しているYouTubeチャンネルでもお話ししています。