【採用ノウハウ】採用活動の本当の目的を意識する
最終更新日:2023/03/13
人事採用コンサルタントの稲田です。
今日は、採用の目的に関して、ご説明したいと思います。
ほとんどの会社で、採用の目的を間違っています。
そしてその結果、採用で失敗しています。
逆に言えば、目的意識を常に持つと、採用で成功しやすくなります。
新卒採用でも中途採用でも、スタッフを採用する本当の理由を意識することが重要です。
採用活動の目的とは何なのか?採用で成功するためのマインドセットをご説明します。
間違った採用の目的とは?
まず1つ、質問をさせてください。会社が社員を採用する目的は何だと思いますか?
今考えられた答えを忘れないようにしていてください。
実際、多くの会社が採用の目的を間違えています。
具体的にどう間違えているのか。
大きく次の3つの採用の目的を挙げる会社が多いです。
- 人手が欲しい
- 欠員補充
- 組織や体制を強化したい
間違った採用の目的1:人手が欲しい
人手が欲しい状況とは、基本的に受注している仕事の量に比べて、社内の人材が足りない状態です。つまり、仕事がまわっていません。
これによってどういうことが起きているかというと、人が足りませんから、お客さんに対して十分な対応ができません。
その結果、クレームも増えます。
人手が足りない以上、仕事をこれ以上受注することもできませんので、仕事を断るなど、機会損失も生まれます。
それ以外にも、1人当たりの労働時間も増えるので、残業が増えます。
残業が起こることによって、残業代が増加し、そもそも業務効率も落ちますし、スタッフの疲労もたまります。
間違った採用の目的2:欠員補充
欠員補充というのは、例えば誰かが辞めた時に、また新しくそのポジションに人を採用することです。本来、欠員補充するという状況は、人が1人減っています。もしくは2人減っている状況かもしれませんが、人数が減っているということは、かかる人件費、必要な費用は下がります。
その結果、経費が下がるので、本当は仕事がそのままであれば、短期的には利益が増えます。
しかし、元々3人でしていた仕事を、2人で回すということは、間違いなくこの2人は業務量が増えて、仕事でパンクする可能性があります。
場合によっては連鎖退職ということが起こることもあるでしょう。
間違った採用の目的3:組織や体制を強化したい
この目的は仕事の質を上げたいということがあると思います。現在、人が足りていないという状態ではなく、さらに組織を強くするため、仕事の質を良くするために、専門技術の保持者や管理職を入れたいということだと思います。
正しい採用の目的とは?
このように「人手が欲しい」「欠員補充」「組織や体制を強化したい」ということを採用の目的に挙げる人が多いですが、それは間違いです。正しくは、2つの目的があります。
- 会社がさらに利益を出すため
- ?????
正しい採用の目的:会社がさらに利益を出すため
採用の目的とは、本来「会社がさらに利益を出すため」です。そのために採用活動をします。
よく考えていただけたら、これは当たり前のことです。
「人手が欲しい」ということは、受けている仕事に対して、人員が足りていない状態です。
その結果、機会損失が生まれたり、クレームが起こったりする。つまり、会社の売り上げや利益を下げているんです。
もしくは、本来もう少し稼げるはずなのに、人手が足りないことによって、結果的に稼げていない状態です。
「欠員補充」は、スタッフが減ったほうが人件費も下がるので、本来は利益が上がりそうなんですけど、仕事量が増えすぎてパンクしますので、利益を下げる行為です。
そして3つ目、「組織や体制を強化したい」と考える方は、会社がさらに利益を出したいから、組織や体制を強化したい。
根底はみんな「会社がさらに利益を出したい」。
会社がさらに利益を出すために、人手が欲しい。
会社がさらに利益を出すために、欠員補充をする。
会社がさらに利益を出すために、組織や体制を強化したい。
「会社がさらに利益を出すため」という目的のために、手段として「人手が欲しい」もしくは「欠員補充」、「組織や体制を強化したい」ということが出てきます。
聞けば当たり前なんです。利益を出すために人を採用する。
実際の採用活動での目的とは?
ところが、実際に採用活動を始めるとどうなるか。もしくは、経営者がそう思っていても、いざ採用担当までおりていくと、どういうことが目的になってしまうか。
次の4つが採用の目的とすり替わってしまいます。
- 目標人数
- 経歴
- 資格
- 経験
実際の採用活動での目的1:目標人数
いつの間にか、「5人採用しよう」など、数目標になっていたりします。つまり、5人採用すれば、それで採用の目的を達成したと思ってしまったりします。
これは、採用担当に仕事を任せている場合でも、経営者が採用活動をしている場合でも同じです。
1人スタッフが欲しい場合に、やっと1人採用できたというかたちで、採用をしたことで、「採用活動は終わった」「目的は達成した」と思ってしまいます。
実際の採用活動での目的2:経歴
「こういった経歴の方が欲しい」と、その経歴通りの人を採用することはできました。そこで採用成功かと言ったら、本当は違いますよね。
ところが、実際に採用活動をしていったら、「なんてすごくいい経歴の方を採用できたんだ」ということで、採用が成功だと思ってしまいます。
実際の採用活動での目的3:資格
資格も経歴と同様です。私は社会保険労務士の資格を持っていますが、例えば、「社会保険労務士の資格を持つ方を採用できた」ということで、採用を成功したと思ってしまいます。
実際の採用活動での目的4:経験
経験も資格や経歴と同様。どういった経験を持っている方を採用できた。スキルを持っている方を採用できた。これで採用が成功した。
そうではありません。
会社がさらに利益を出すことが本来の目的であって、そのための資格、そのための経歴、そのための経験、そのための人数なのです。
実際に採用した方が、採用後に利益を出さなかったら、それは「採用の失敗」です。
ところが、採用活動を続けていると、なぜか気づけば、目標人数、経歴、資格、経験といった目先の目的が、採用の目的とすり替わってしまいます。
これは本当に採用でよくある失敗です。
採用の目的は、会社がさらに利益を出すため
常に目的を持ってください。会社がさらに利益を出すために。
そうすると、面接スキルも上がります。
「この人を採用した結果、お客さんから好印象を持たれるか?」といった選考基準が出てきます。もしくは「取引先、社内のスタッフから好かれるかどうか」など、視野が広がります。
ところが、経歴とか資格とか経験、求める人材像とかだけを見ていくと、これが見えなくなってきます。
必ず根底に「利益」というものを考えてください。
この人を採用することによって、会社にどのような利益が出せるか。
採用後も必ずその利益を見ていく。
まずは目的の1つとして、会社がさらに利益を出すというのを覚えておいてください。
2つ目に関しては、その前に伝えることがまだたくさんあります。それらを学んだあとに、目的の2つ目はお伝えしたいと思います。
この内容は、私が運営しているYouTubeチャンネルでもお話ししています。