採用の教科書というタイトルは使えません。新卒採用の教科書,中途採用の教科書,障害者採用の教科書も同様
最終更新日:2018/10/06
採用の教科書や採用コンサルタント
平成22年に発刊された「1週間で会社が変わる!採用の教科書」も、発売からすでに8年が経過していますが、流行などを追わずに本質だけを書いた結果、当初の目的どおり今も売れ続けてロングセラーとなっています。業界の人なら当然ご存じでしょうが、現在は、採用の教科書=稲田行徳とまでなっているようです。
平成22年までは、求職者側向けに就職に関しての本は多数あっても、企業向けの採用に関しての本などは殆ど売っていませんでした。
「採用の教科書」が売れはじめると、予想通りでしたが、他の出版社から同様の本がでてきました。
中には、これまで教育などメインで採用コンサルなど事業にしていなかったであろう人や学生向けに就職の本を書いていた著者が、急に企業向けの採用手法を書いている本もありました。
内容は、、、、、、ね(笑)。
判断するのは読者(実際に採用をしている会社の社長、採用担当者)ですし、効果があるかどうかは実践すれば分かります。
まあ、売れた分野を真似するのは、それが出版社の考えでしょうからご自由にという気持ちですが、平成21年当時にまだ売れるかも分からない採用に関しての本を出そうと社内の企画会議などで苦労された私の編集の方の努力を考えると、便乗商法をされてもため息しかでません。
現在は売り手市場ということもあり、人材不足。結果として採用に関しての需要が上がっています。
求人広告の出し方ばかりに目が行っているような採用コンサルタント?の実力の有無は依頼者が判断をすればよいのでしょうが、急に、「採用コンサルタントです」と名乗り出す人が増えたなと最近感じます。
同業が増えるのは市場が拡大するので悪いことではないのですが、依頼をされる場合は、しっかりと見極めてくださいね。
さて、本題に。
書籍「採用の教科書」というタイトルは、稲田行徳以外使えません
たまに商標権を侵害する出版社や著者とやりとりが発生するのですが、再度、ここでも書いておきます。今月もありました。
発売前に気づいたので、事前に連絡をして、このまま商標権を侵害したまま出版をするのかどうか?と質問をした結果、発売延期になりました。(その後、タイトルが変わって売られました。タイトルを変えればこちらとしては特段問題はありません)
こういう商標権に関してやりとりをする頻度は残念ながら年に1回程度です。
商標権の侵害は犯罪で、最大3億円を国にポンと払える法人があるかどうかですね。
・商標権を侵害した者には、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、又はこれらが併せて科されます。(商標法78条)しかも非親告罪ですし、上記罰則は刑事罰だけの内容です。民事での損害賠償がこれにプラスされます。
・また、法人の代表者、従業者がその業務に関し、侵害行為をした場合には、その行為者が罰される外、法人にも3億円以下の罰金刑が科されます。(商標法82条)
・侵害行為に該当してなくても侵害の予備的行為に該当する場合や、商標登録されていないのに登録がされているかのような虚偽の表示をすることも犯罪になります。(商標法78条の2、商標法80条)
※
冒頭にも書きましたが、発売前に大体、Amaoznなどで本の予約受付が始まります。その時に「採用の教科書」という言葉を付けた本がでることが分かります。
採用分野の本を出版されるのは自由ですが、わざわざ、タイトルで「採用の教科書」とつけるのはやめた方が良いです。
当たり前ですが、出版社も著者もわざわざ違法行為を侵そうとしているわけではありません。ようは商標を取得していると知らないわけですね。
ただ、タイトルを付ける際に、何も考えないで売れた本のタイトルの真似をしたのか、本当に平成21年の私と編集の方が必死に考えたときとまったく同じ思考プロセスを経て、偶然の産物の結果、ものすごい確率でまったく同じタイトルになったのでしょうが、どちらにしても、一緒です。
商標を取得しているかどうかは、 で検索できるので、本や商品・サービスのタイトルを決める場合は、必ず確認作業をしておく方が無用なトラブルと損失を免れることができます。
今回は比較的大きな出版社でしたが、商標を確認するというフローが抜けていたようです。たぶん、これまでの発生頻度から考えてもまた来年あたりに他の出版社で同じようなことがおこってまたやりとりをしないといけないのでしょうが、何度も言いますが、採用の教科書という商標を使って、本などの商品を作らないでください。
弁護士に代理交渉してもらわなくても、出版社や著者との法的なやりとりも慣れてきましたし、刑事告訴も試しに自分でやった経験もありますので心理ハードルは0です。
でも、他社が一生懸命に育てたブランド(商標)を侵害する行為は、侵害される方としてはやっぱり嫌なんです。こんなくだらない事でやりとりや時間を使わされるのも嫌なんです。
ということで、出版社や著者でない方もこの記事を読んでいるとは思いますが、どんな製品でも同じです。新製品や新サービスを出す場合は、事前に他社の商標権を侵害していないかを特許庁のHPで確認した上で、商品を出しましょう。