ブラック企業と認定されないための従業員満足度を考えた経営(ES経営)
最終更新日:2016/07/28
社員の事を考えていない経営をしていたり、あまりにもヒドイ環境や労働条件で働かせているとその情報がfacebookやTwitterによって数時間のうちに一瞬で拡散してしまう時代です。
そして不買運動が起こったり、全国からクレーム電話がなりやまない状況になるわけです。
企業規模が大きく知名度のある会社ほど、そういうマイナス情報は面白おかしく拡散され被害はどんどん拡大しますが、企業規模が小さく知名度の無い会社でも、過去に全国で有名になったりもしました。
(新卒採用の内定取り消しをおこない、厚生労働省に悪質と判断され企業名を公表された会社など)
企業規模の大小に限らず、知識をもたずに経営をしていれば、会社は傾いていきます。
実際に、過去にブラック企業とインターネット上で特定された企業のその後はヒドイものです。
だからスタッフの事を考え従業員満足度を重視した経営をしないと、将来会社が危なくなると言い続けてきましたが、やっと時代が追いついてきました。
私は左翼的な思想を持っているわけではなく、モンスター社員の味方でもありません。従業員満足度経営を考えるのは、会社のためには論理的に見て当たり前のことなんです。
なぜなら、
顧客が離れていきます
ブラック企業とレッテルを貼られたら、顧客が離れていきます。「顧客満足度を上げるために従業員満足度を上げる必要がある」とかそういう、ES経営の本質を理解していない薄っぺらい意見を言っているわけではありません。
顧客満足度(CS向上)のためにというのは、ちょっと本質から外れますので、ここでは書きません。
詳しくは、従業員満足度実践塾で従業員満足度研究所の藤原清道先生が解説しています。
ブラック企業というのは、労働環境がうんぬんと言うだけではなく「経営者や会社だけが儲かる仕組みや制度を導入されている(例:スタッフの人生が搾取されている)」ということが原則です。
そう顧客から思われることが売上が下がる原因です。自分がその会社やお店からサービスを買ってお金を払うことで、さらに会社や経営陣だけが笑っている絵が見えてきます。
正義執行のような正義感でお金を落とさないことを制裁として実行する人もいるかもしれません。
お金を支払う側はそれに見合ったサービス(満足)が欲しいのですが、上記のような心理状況が働くことで、心理的な満足が減ります。
逆を考えると分かると思います。ノルマに困っている営業のために商品を買ったときに、その営業を救った(=いいことをした)という心理満足が働き、同じ金額を支払ったとしても手に入る満足度が違うのです。
まとめると、自分が支払ったお金が世の中のためにならないという事が顧客にバレルことは、自社が提供しているサービスの価値を下げてしまう行為と言えます。
採用活動はブラック企業と認定してから一気に苦しくなります
もう恐ろしいほど人が採れなくなります。インターネットの情報は基本的に自分で消せません。なぜなら、その文章はあなたのものではないからです。
また名誉毀損で脅したところで、実際はどれくらい名誉が毀損されたかを証明する必要があり、新聞などでも犯罪者が実名報道されるように「公共の益」になる場合は認められています。
※また憲法の「表現の自由」とも関連してきます。
そもそも厚生労働省が「企業名公表」措置を実施しているのですから、「事実と会社名が書かれた記事を消せ」と裁判になった場合、それを裁判所が認めた判決がでれば、厚労省も困るわけです。
三権分立と言っても、「国」に不利になる判決をした裁判官はその後立場が悪くなると思いませんか?
あなたの会社のために裁判官がそれだけのリスクをおかすのかを考えた場合、どうでしょう。
弁護士の方もこの辺は分かっていると思います。名誉毀損の3要件からも「労基法などを順守しない違法行為をしている事実をもとにした内容を掲載すること」は、今後不幸な社員を減らすためや会社の改善のためにも公共の益と言えなくもありません。
「間違いなく消せる」と言う弁護士はいないでしょう。実際、ブラック企業偏差値ランキングなるサイトが現在も公開されており更新され続けています。
このように「ネット上で社名が書かれた記事を消す事(後ろめたい過去を消すこと)」は相当ハードルが高く、1サイトを消すことに成功しても、訴訟を起こしたことで更にネットユーザーに火を付け、拡散されて炎上する可能性もあります。
※消したい会社は頑張って弁護士に相談して、Google相手に訴訟するなど頑張ってください。
長くなりましたが、「消す事」ではなく「書かれない事」が大事というわけです。
なぜなら、採用活動は、今だけではなく、1年後、2年後、5年後、10年後と続いていきます。
その間、社名で検索すると、そういう「従業員の事を考えていない会社」だと事実を元に書かれたサイトを応募者が見るわけです。
結果、応募してきません
採用活動は本当に悲惨になりますし、そこから挽回するためには、本気で社内改革をした上でそれを素直に書いて、応募者に理解してもらう採用手法が必要ですが、そのような採用手法を自社で導入できることはないでしょう。
今後採用する人たちは、そういう事を事前に調べない(=情報収集能力の低い)スタッフがやってきます。
殆どの場合は、以前と同じ水準のスタッフは入ってこなくなります。ですから、「もう今後、いい人材が採れなくなる」これを是非、理解してください。
人員を今後、順調に増やす事はできないと思って下さい。
その損失額はいくらでしょうか?
(過去有名になった某飲食チェーンなどどうなってますかね。試しに「店名 求人」で検索してみると消えていない現状が分かりますよ)
既存スタッフの退職連鎖
当然ながら、採用活動だけに影響を与えるわけではありません。「あなたの会社大丈夫?」とか「お前の会社なんかヤバイらしいな」とスタッフは周囲から言われます。
従業員満足度が直接影響を与えるのは、当然ながら従業員です。
従業員満足度が低い会社はもともと離職率(や早期退職率)が高かったでしょうが、さらに拍車がかかります。
当然ながら他でも活躍できる優秀な人材は、泥船に乗る気はないのでドンドン転職していくでしょう。
そして、残ったスタッフへの仕事が増えます。その残ったスタッフへの従業員満足度も考えないでしょうから、残ったスタッフも体や心を壊したりして辞めていきます。
結果としてさらにブラック企業と言われるようになり、顧客減少・採用活動の問題が大きくなり、この退職連鎖もさらに激しくなります。完全に脱出できない負のスパイラルです。
基本的に会社は終わりです
上記は妄想と思いますか?「そんなことはない。
うちはブラック認定されてもやっていく自信がある。顧客は離れない!」
と言えますか?
もしそういうように、人の心理が分からないようであれば、現在の従業員の心理も分からないでしょうし、従業員満足度は既に低い状態でしょう。
ブラック認定された場合、会社の体力があればすぐに倒産まではいかないでしょう。
ただ、事業縮小や失速は免れませんし、採用活動をちゃんとしないと今後の人材の質は悲惨です。
(うまく隠した採用活動を推進するものではありません。入社したスタッフにはすぐにバレます)
再度、冒頭で伝えたことを言いますね。
従業員満足度を考えた経営は、会社を生き残らせるためには必須
少しはご理解いただけましたか?
やっとです。本当にやっと、時代が追いついてきました。良い事です。
あなたの会社が今後も生き残るためにも従業員満足度を考えた経営をしましょう。
現在、いなだ事務所では従業員満足度研究所の藤原清道先生を講師として、「従業員満足度を上げる為の経営者向けセミナーとQAフォーラム」をオンライン形式のeラーニングで学べるサービスを提供しています。
会員も増えてきて、QAフォーラムも自社の生々しい質問が投稿されて、藤原先生が回答しています。
サービスの詳細は以下をご覧ください。
従業員満足度経営(ES経営)を学べるマネジメント研修:従業員満足度実践塾の詳細はこちら
追伸 ちなみに「従業員満足度調査ツール」の導入も本質から外れています。
その理由も上記、従業員満足度実践塾で説明されています。