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休業手当の正しい計算方法|平均賃金から計算する労働基準法26条|雇用調整助成金でも必要

公開日:2020/07/05
最終更新日:2022/02/07
間違いやすい休業手当の計算方法について動画で解説しました。


新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)によって休業をする会社やお店が今年は一気に増えました。

会社が労働者に休業を命じたら休業手当を支払わなければいけません
では、休業手当とは一体、いくら払えばよいのか?

給料の6割が休業手当ではありません

多くの企業や、給与計算担当者、人事の人間でも計算を間違っていることはよくあります。

具体的に法律上の休業手当の金額について動画で解説しましたのでご覧ください。


YouTubeで休業手当の計算方法の動画を見るならコチラ

上記動画の字幕テロップを記載しておきます

これとかそれとかあるので動画を見ないと分からないかもしれませんが、文章(喋った内容)を一応掲載しておきます




今日は「休業手当」の計算方法に関してご説明したいと思います

コロナの関係で会社を休業させて従業員に休業手当を支払うっていう会社も多いと思いますけど、実はその休業手当の計算方法結構、勘違いしやすいんです

少し難しいとこがあります

今回はそちらの「勘違いしやすい点」

あと「計算方法」に関して詳しく説明していきたいと思います

こんにちは社会保険労務士の稲田です

まず勘違いしやすい点に関してご説明していきます

会社側も休業手当を受け取る従業員側も間違っていることが多々あります

会社側としては法律で決められてる基準より高く休業手当を支払っていたりもしますし、逆に従業員側としては例えば給与の6割ってイメージがあると思いますけど、実際は法律通りに支払えば(給与の)6割いかないんです

ですからそこで受け取った休業手当が
「あれ?少ないぞ?」っていったことが起こってる

なかなか休業手当を支払うっていうことはあまりないと思います

特に今回のコロナのように長期にわたって休業を命じて、それで(休業手当を)支払うってことはなかなか少ないですから、今回支払った方も受け取った方も間違っていると言ったことが結構、起こっています

今日の動画をご覧いただければ、どう間違えやすいのか?とか具体的な計算方法も分かりますし、じゃあ、それを踏まえた上で何をすればいいか?も分かりますので、是非最後までご覧ください

さっきも言いましたけど、

主に休業手当って言うと、基本的に月給の6割というイメージがある

「給与の6割支払えばいい」

こういう風に理解してる方がいるんですけど、実際はちょっと法律では違うんです

例えば、月給20万円の方だと6割は12万円ですよね?

ですから休業手当として1ヶ月分、12万円支払っているっていう会社もあります

12万円受け取ってるっていう方(従業員)もいるでしょう

一応これが間違いです

なぜこうなるかと言いますと、そもそもですね、この月給の6割ではないんです


この「平均賃金」っていうのがそもそも専門用語なんです

主に労働法関係で使われる言葉、これが平均賃金で、これが基本給とは違うんです

月給・給与と違うわけで、これによって結果、間違っているって事が起きてます

実際にその(法律)通り平均賃金で計算したら、

あれ?思ったより少ないぞ?

っていう事が起こっています


休業手当で一応、法律上正しいのは、平均賃金の6割以上って言われてますけど労働基準法の第26条で定められています

この6割っていうのは最低保障なんです

ですから別にこれ以上支払うのは全然OKで、平均賃金8割払うとか平均賃金の10割払うって言ったことでもOKなんです

現在、会社の方に就業規則がある場合は、そちらも是非ご覧ください

そこ(就業規則)で休業に関しての項目は普通、書かれていると思いますので、そこにどう書いているのか?

それが平均賃金の例えば、6割って書いているのかもしくは給与の6割と書いているのかで結構、変わってきます

もし、そこの就業規則に給与の6割って書いているんだったら、それはもう給与の6割を支給しなければいけません


「平均賃金とは何だ?」

それをちょっと分かりやすく説明していきたいと思います


こちらですね


基本的に平均賃金っていうのは、基本給より低くなると思ってください

ですから基本給の6割と平均賃金の6割だったら、当然ながら平均賃金の6割の方が低い

大体「どのくらい低いか」と言いますと、月給の方の場合、平均賃金と基本給を比べてもし週休2日だったら、大体5/7ぐらいになります。

71%くらい。

だいたいこの位の率になると言うところ

休業手当はこの平均賃金の6割ですから、この71%のさらに6割といった形になりますから、71%✕60%とした場合はこの場合、43%といった形で基本給の43%が休業手当って形になる

ちょっと見やすく拡大します

例えば先ほどの例で言うなら、月給20万円の方で12万円ではなくて月給20万円だったら、大体、43%になると

(休業手当は)86,000円になるです

月86,000円払えば、これは休業手当として一か月分払っていると、いったことになります

もう少し詳しく説明していきます

こちら



ポイントはですね、この平均賃金というものなんですけど、まず1日の平均賃金を求める必要があります

これが基準になってくるんです

この平均賃金に含めるものと、含めないものって色々あるんですけど、すごく簡単に言えばですね

直近3ヶ月の給与の合計額を暦日数で割るって形です

これは暦の日数ですから、簡単に計算しますと、このような形なんですけど例えば先ほどと同じく月給が20万円のかた

この場合、3月,4月,5月。直近3ヶ月これで支払われた給与が20万円+20万円+20万円とした場合だったら、合計で60万円ですよね?

この暦日の数なんですけど、3月が31日、4月が30日、5月は31日間ありますよね?

ですから合計で

31+30+31=92日になります

この60万円、3ヶ月の合計の60万円を92(日)で割るんです

そうすると6,251円という金額が出てきます

端数は全部切り捨てと決まっています

こちらがこの月給20万円のかたで、しかも3月、4月、5月っていう日数で計算した場合の「平均賃金」です

6,251円/日

これ考えていただくと分かるんですけど、暦の日数でそのまま割りますのでこれですね、週休2日の方であっても土日など休みが含まれて割られるんです

ところが、休業手当っていうのは「休業した日」にしか支払われないんです

週休2日の方だったら、一週間休んだら週5日間休んでますよね?

ですから休業手当は5日分しか出ないんです

単純にこれで考えれば、(給与の)5/7になると思ってください

ちょっと分かりづらいと思いますけど、ここですね

この結局、割る日数が多いのに、もらう日数が少ないこと

これによって平均賃金を基準にした休業手当っていうのは更に下がってきます。

もうちょっと分かりやすく説明します

暦の日数ではなく、所定労働日数って考えていただければ分かると思いますけど、だいたいですね、一か月、月給者っていうのは大体20日から23日働きます

これ週休2日の場合ですね

さっき5/7って言いましたよね?

例えばその一か月間休んだ場合なんですが、これですね

まず30(日)で割る

まぁ正確に言うなら本当は、3ヶ月分だから90(日)って形になるんですが、分かりやすく30(日)で割ります

(1ヶ月の)給与を30(日)で割って、それに20日とか23日っていうのをカケるんです

20/30とか23/30ですから、当然ながら1より少ないので給料より下がるってところです
※給与÷30✕20

これ5/7だったら週休二日の場合、どうやったって給与の80%にまずいきません

これはですね

法律的に更に言うなら、休業手当っていうのはこの平均賃金の60%でいいんですよ

ですから、

給与✕60%より平均賃金✕60%っていうのは絶対に低くなります

理解しづらいと思うんですが概要です、全体の概要です

もっと詳しく、具体的に数字に当てはめてみます

実際の計算例です

例えば先ほどと同じ例、月給20万円の方なんですけど、20万円✕6割、12万円・・・

ではないですよね?

これは法律上の計算ではありません

一か月間休業した場合なんですけど、まず平均賃金を出します

先ほどありました、6,251円

ここでですね

一か月間の例えば、所定労働日が22日としましょう

22日間、残り土日が休みとか週休2日だったらですね

と言った形で8日間とか9日間が休みかもしれません

22日間休業ってなるんです

1ヶ月休んでいるのに

ここで22日ですから、先ほどの6,251円(平均賃金)でさらにこの平均賃金の6割なので、カケる6割

さらにそれで稼働日が22日なので22日(をカケる)

これでまあ82,522円

というのが実際の1ヶ月の休業手当なんですよ

平均賃金は切り捨てでしたけど一応、休業手当に関しては平均賃金の6割をカケた時に四捨五入をします

これですね

先ほどの12万円と差額がいくらあるかと言いますと、37,486円もあります

これ%にしたら68.7%

12万円の更に68.7%しかもらってないんです

ですから、もしこれ給与と考えた場合だったら月給の6割の12万円ではなく、さらにそれの68.7%ですから月給の41.2%もうらうと

月給の大体4割くらいが休業手当っていうのが正しい計算方法なんです

これを払っていれば、法的には会社として休業手当を払ってるっていう事になるんです

今、月給の話をしましたけど、これですねちょっと日給とか時給に関しては少しまた計算方法が別になってきまして、ちょっと考え方が変わってきます

なぜかと言うと、日記とか時給の方っていうのは週5日働いてなかったりする

例えば週2日とか、週1日とかそういった方の一か月の給与をですね、暦通りの日数で割ったらすごい低くなりますよね?

それに対して60%カケて休業手当となると、さらにもっと低くなりますからここで救済措置がとられているわけです

具体的にどういうのかと言いますと、分かりやすく計算したいと思います

週2日勤務した場合、例えば月10日働いた場合なんですけど、この方が日給1万円とします

日給一万円で月10日ですから、月10万円もらいます

この10万円を3か月もらって、それを暦の日数、暦日数で割ると30万円÷92

一日3,260円が平均賃金なんです

日給一万円の人がなぜか一日3,260円になります

これさすがに低すぎますよね?

これが平均賃金ですから休業手当というのは この平均賃金に6割なので1,956円しかもらえないんです

ですから日給1万円の方をもし暦通りの日数で割って休業手当を支払ったら1日の休業に対して日給1万円の方が1,956円しかもらえない

2割以下ですよね?

こういった不利益が起こりますのでこの場合、労働日数で割るということが認められています

こちら労働日数で割った場合です

例えば月10日ですから3か月で月30日間働くといった形です

ですから先ほどと一緒です

3ヶ月間の合計30万円を30で割ります
※30は労働日数

そうすると一万円ってのがでてきます

さらにそれに0.6倍するんです

6割。で、6,000円とでます

一日6,000円というのが平均賃金ですね

こういった計算になってきます

この6,000円に休業手当はまた6割をカケますので、6,000円✕0.6で結果的に3,600円といった形になります

こっちよりは確かに増えますよね

こういった0.6倍かけて平均賃金をだすのですが「どちらか高い方」というのがポイントです

これは労働日数で割りましたけど、例えば通勤手当とかに関しては一ヶ月分ポンっと渡しますからそういった場合に関しては通勤手当はこちらの暦日、暦の日数で割って普通の給与。日給に関してはこういった計算方法で割っていく

で、「どちらか高い方を選ぶ」といった形です

ちょっとこれ日給とか時給の場合、少し面倒くさいと言いますか考え方が違いますのでまぁ参考までにしておいてください

一個すみません。説明をし忘れてました

給与に含めるものが何個かあるんですけど逆にまず含めないもの

何を含めちゃいけないか?

それは、一言でいうならボーナスです

基本的にはボーナスに関しては含めません

例えばちょうど直近3ヶ月の間に夏のボーナスがあったとか冬のボーナスがあった場合は、その金額を足してしまったら平均賃金が跳ね上がりますよね?

3ヶ月の合計金額が上がりますから

なのでこのボーナスは含めないと

一応、ちょっと例外もありますけど、基本的にボーナスを含めないと思ってください

逆に含めるものは何かと言いますと、当然ながら基本給とかは含めますけど

「時間外手当」

その3ヶ月に働いた時間外手当あと通勤費も含めます

ですから、通勤費が高かったらそれだけで。平均賃金も上がるってことなんです

ちょっとまた戻ります



基本的に大体ですね

さっき計算したら分かると思いますけど、ちゃんと法律通りに計算したら大体、給料が4割ぐらいになるんです

休業手当になると、家賃っていうのの相場と言いますかね、収入の3割ぐらいまでにしなさいとか色々ありますね

お金が。

そうしないと

生活が苦しいとかありますけど、じゃあその一か月間4割の給料で生活しろって言われても30%くらい家賃で飛んで行く

じゃあ残り10%でご飯を食べるとか携帯とか、光熱費もありますよね?

(生活は)無理ですよね?

基本的にこの通りに平均賃金を支払ったら従業員の方は生活できないってことが普通に起こります

そもそも平均賃金の考えっていうのは、本当に法律の最低基準という風に思ってください

これをベースに休業手当を今回支払っている会社ってあると思いますけど、多分相当、従業員の方々は大変な状況になっています

例えば経営者の方も月々の生活費を4割で生活しろって言われたら結構、厳しいと言うのが分かると思います

労基法ってそもそも最低基準を決める物なんです

平均賃金の「6割以上」って書いていますので別に6割じゃなくて7割,8割ってことでも全然OKなんです

この辺で会社によって差が出てくる所ではあります

もし、この法律通りに支給した場合だったら、給与の4割になりますから会社は確かに安く済むんですけど、残念ながら従業員は多分生活できない状況になっているでしょう

更に従業員側も6割もらえるという風に普通は思います

なかなか今みたいな計算方法。平均賃金を計算してそれから実際に休業した日数、所定労働日です

月22日とか23日カケるっていった事知らない方の方が多いと思いますので、4割もらって8万何千円もらえましたって言っても、普段、20万円もらっている人はそりゃ生活できないよってなるわけです

で色々トラブルが起こっているといった所

なぜなら今まで休業手当を支払った会社はあまり無いからです
※経験がない

もし、こいったことを今まで知らずに

「あ!従業員の方に休業手当として給与の6割払っていた」

って言う場合は、それはそれで私はいいことと思います

そもそも、じゃあ10割払ったって今回、特例で雇用調整助成金の方でその辺カバーしてくれるんです

ただし解雇しないとか色々条件はありますけど

そうじゃなくても8割は国が助成してくれますので、こういった雇用調整助成金のことを活用すれば別に平均賃金で計算した通り給与の4割を払わなくても別に6割払っていただいても全然それは大丈夫といった状況ですよね?

結局、日本中で4割の給与になってそれで生活できないって人たちが増えたわけです

だから今回特例として助成率を上げるといったこともしていたりもします

この雇用調整助成金なんですけど、国としては会社に「ちゃんとお金払いますよ」って言ってるんですけど、そもそもの計算のもとがこの平均賃金から休業手当を計算した場合だったら、雇用調整助成金の問題じゃなくて会社が従業員にいくら払ったかっていうとこ

そこも労基法上のちょっとした問題ですよね

今日の話のポイントとしては、労基法上は休業手当のモトになるのは平均賃金だからなんですだからこんな事が起こるんです

国から支払われるお金の計算方法ではなくて、元々の法律上の休業手当に関しての計算方法というのでこの支給額になって結局、国からいくら貰えるのかが変わってくる

更に従業員もいくら貰えるか変わってくる

なんかあまり良くないアドバイスと言いますか例えば

「いやいや給与の6割なんか払わなくていいですよ」

というアドバイスが経営者にもしあったとしても私はですね、個人的な考えですけど、基本的にそういったアドバイスは違うと思います

だったら、ちゃんと給与の6割でもいいから多く払ってあげてその辺ですね雇用調整助成金でもらえばいいといったところです

普通ですね休業手当っていうのはなかなか1ヶ月とか2ヶ月とかそういう長期間では考えられていないっていう風に思ってください

1日2日とか3日であれば、こういった計算方法でも分かるんですけど、長くなればなるほど、どうしても休日含めてきますので、土日とかですね

そういったとこで金額がだいぶ下がってきます

結果、一ヶ月の収入が4割になったら普通生活できませんからね

この辺はまあ本当、顧問の社労士とかに是非相談してみて、休業手当に関してはどうしようかって話はしてもいいと思いますけど

基本的には従業員の生活を守ってあげるのがやっぱり経営者としての務めかなというとこです

結局、従業員に休業手当を払った後、国からまた後で返ってきますからね

後は「新型コロナ対応休業支援金」っていうのも一つありまして

これは別の動画で説明していますので詳しくはそちらをご覧いただきたいんですけど、これ、逆に休業手当を支払わなかったらなんと給与の8割これを従業員に国が直接払うと言った助成金で、どう考えても会社が休業手当を払うよりこちらの新型コロナ対応休業支援金っていうの直接、従業員がもらった方が得するという状態になります
※2020/6/30撮影日現在の情報

ただ、休業手当を支払わないというのは、基本的には、労基法26条違反になりますので

この辺を国はどうするのか?

ここに関して詳しくはもう一つの動画を見ていただければいいと思います

私としては今回の休業手当のことをを見ながら、少し法律的な不備と言いますか、平均賃金の計算による休業手当は結構、厳しいんじゃないかな

って思いますね

この辺はですね、法律っていうのは本当完璧なものではないので、今後変わっていけばいいなとは思います

ということでまぁ専門用語によって、平均賃金っていう考えを理解しないと、なかなかこの休業手当の法律的な考えが理解しづらいのでこういった動画にまとめさせていただきました

休業手当の計算法を知りたい場合は、こちらの動画を参考にしてぜひ一度計算してみてください


YouTubeで休業手当の計算方法の動画を見るならコチラ

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