大分キヤノンの派遣切りに関する2つの考え
最終更新日:2017/04/17
キヤノン大分工場での派遣切りがメディアを騒がせているが、ある二つの記事にであいました。
1つめは保坂議員のブログ
引用:非正規を切る一方、期間工を募集するキヤノン大分工場キヤノンの会長はご存じのとおり御手洗富士夫氏です。
今日は午前中から「派遣・非正規雇用問題」で厚生労働省と約3時間のやりとりをして問題点が浮かび上がってきた。
実は、キヤノン大分工場でとんでもないことが起きている。
すでに報道では、キヤノン大分工場で働く派遣業者や業務請負業者が派遣・請負社員を送り出していた1000人の契約を解除すると通告していた。
契約期間は来春まである人も、一方的な解雇予告で12月には寝起きしている寮も出るように言われているという。
労働組合を結成した若者二人が今日、国会議員会館を訪れ厚生労働省への申し入れを行った。
驚いたのは、こうして生首を飛ばす一方で、大分キヤノンは、期間工の募集を同時に行っているということだ。
ハローワークで募集している求人だけでも、大分キャノンが期間工100人の募集を行い、また大分キヤノンマテリアルも50人を募集している。
今日の中途解約を通告された労働者のヒアリングからは、「直接雇用の期間工を募集しているという話は知らなかった」と言い、熟練した派遣・請負の労働者を切るにあたって、直接雇用の期間工募集があると提示さえしていないことがわかった。
日本経団連会長でもあり日本企業を代表する立場です。
そして、労働組合がキヤノンと御手洗氏に申し入れた文書がこちら
引用:同じく保坂氏のブログ
キヤノン株式会社
代表取締役 御手洗冨士夫様
代表取締役 内田恒二 様
大分キヤノン株式会社
代表取締役 飯塚守 様
NPO法人ガテン系連帯共同代表 池田一慶
全日本建設運輸連帯労働組合関東支部 執行委員長 中塚大介
拝啓 貴社ご清栄の段お慶び申し上げます。
私たち「ガテン系連帯」は、派遣、請負社員の権利向上のために活動するNPO法人で、また、全日本建設運輸連帯労働組合は、建設、セメント、生コン労働者をはじめ製造工場で働く派遣・請負社員を組織する労働組合です。
今般、貴社らの大分工場で、デジタルカメラの製造業務に従事してきた派遣・請負社員が当組合に加入し、労働組合日研総業ユニオン大分キヤノン分会を結成しました。
1.結成のきっかけは、貴社らによる「派遣切り」です。
大分キヤノン大分工場には、日研総業、フジワーク、テクノスマイル、ワールドインテックなど数社の派遣業者(もしくは業務請負業者)が派遣・請負社員を送り出しています。
これら業者は、派遣・請負社員に対し、10月中旬から下旬にかけて、「11月下旬から減産が始まる」と通知。11月に入ると、派遣・請負雇用契約を中途解約して解雇すると相次いで予告しました。
改めて指摘するまでもなく、現在、貴社をはじめ多数の大企業が競い合うようにして「派遣切り」「期間工切り」を中心とした人員削減を発表しており、これら派遣・請負社員が解雇後の新たな仕事先を自力で見つけるのは至難の業というべき状況にあります。
そればかりか、他府県からやって来た大半の派遣・請負社員は寮に住み込んで働いていたので、解雇されたがために、この年の瀬になって、その住まい(寮)からも追い立てられようとしています。まさに生存権が脅かされる事態です。
2.ところで、この一連の過程で、貴社らがこれら派遣・請負社員の雇用確保措置を検討、実施した形跡が全くみられません。
それどころか、貴社らは、派遣・請負社員を「減産」を理由に大量に使い捨てる一方で、まさにそれと同じ時期に、かれらが働いてきた同じ大分工場の同じデジタルカメラ製造業務のために、新たに「期間社員」を大量に募集している事実が判明しました。
募集は、キヤノン株式会社や大分キヤノン株式会社のホームページ、フリーペーパー形式の求人誌、さらには、沖縄や九州の各地のハローワークで行われており、その数も、ハローワークの求人票によれば、大分キヤノンが100人、大分キヤノンマテリアルが50人にものぼります。
神奈川、栃木、茨城の各事業所でも募集は行われています。
こうしてみると、貴社らが、これまで業務を行わせていた派遣業者(もしくは業務請負業者)と話し合って、これまで働いてきた 派遣・請負社員を期間社員として優先的に採用することによってかれらの雇用を維持・確保することが十分可能なはずです。
すでに業務に習熟した派遣・請負社員を採用することは、業務の安定的な継続性を確保し、余分な募集コストを省くことにもつながるので、貴社らにとっても合理的な選択であるはずです。
大分キヤノンは、「国内唯一のキヤノンカメラ生産拠点」、「世界に広がるカメラ生産の拠点」の名の通り、キヤノンのデジタルカメラ製品の製造を一手に担い、02年から5カ年間で売上高は2,511億円から4,425億円へとほぼ2倍に伸ばしました。この空前の業績を製造現場から支えたのは、いうまでもなく無数の派遣・請負社員です。
貴社らは、「企業理念」として「共生」をかかげ、「文化、習慣、言語、民族などの違いを問わずに、すべての人類が末永く生き、共に働いて、幸せに暮らしていける社会」をめざすと表明しています。
この理念通りであるなら、正社員とともに汗を流して来た派遣・請負社員の雇用確保に、いまからでも遅くはないので、ぜひともあらゆる手だてを尽くしてほしいものです。
3.そこで、下記の通り申し入れますので、派遣・請負社員の危機的現状を速やかに打開するために検討してください。
記
1.新たな「期間社員」の募集について
大量の派遣・請負社員の契約解除の一方で、多数の期間社員を新規に募集する理由を説明してください。
また、大分キヤノンの当面の人員規模は現状と比べてどうなるのでしょうか。
さらに、これら新規の期間社員が行う業務とこれまでの派遣・請負社員の行ってきた業務との間に差異があるのか否か、期間社員に期待する業務遂行能力と派遣・請負社員のそれとの間に決定的な違いがあるのか否かについても説明してください。
2.派遣・請負社員の優先的採用について
これまで大分キヤノンで働いてきた派遣・請負社員のうち、希望する者については、貴社らが新規募集する期間社員として優先的に採用してください。
なお、このために、かれらの所属する派遣・請負業者と協議して転籍が円滑に行われるよう措置してください。
敬具
上記に対して、なかなかおもしろい記事がありました。
キヤノンよりもっと悪い会社があるのに、という内容
引用:キヤノンに対する間違った批判
またキヤノンが批判に晒されている。
派遣社員の契約を解除する一方で、期間工を募集していることを問題視しているようだ。
私はキヤノンの経営者に提案したい。
もう大分工場は閉鎖して、日本でデジカメを生産するのはやめたらどうですかと。
既に富士フイルム、ペンタックス、オリンパス、コニカミノルタは国内でデジカメを生産するのをやめ、中国などに工場を移転した。しかし私は、左翼がこのような雇用喪失を非難しているのを聞いたことがない。
彼らが非難するのはもっぱら、日本で「ものづくり」を継続しているトヨタやキヤノンなどだ。
国内で雇用を創出している企業を非難して、一方で日本人を切り捨てて中国で生産をしている企業に見て見ぬふりするのはド阿呆だ。左翼はこういう。
全員正社員で雇えと。無茶をいうな。
それで中国生産の企業に対抗できるなら、最初からそうしている。
できないから派遣を雇っているのだ。
工場は稼働率の変動が激しく、工員も臨機応変に増減したい。無駄に多く雇っていれば、それはすぐコストに響く。
正社員が労働法制にガチガチに守られ簡単にクビにできない以上、派遣や期間工で工員の増減に対応しようと経営者が考えるのは当然だ。
本名は出していないが、このかたの言い分は一理ある。
(というか私も経営者側の人間なのでむしろこちらの方が納得できる)
さて、あなたは経営者側?派遣者側?
ちなみに、私がキヤノンの人事担当であれば、期間工の枠が50人なら採用者は50人という枠を決めて、派遣社員が「転職」を希望するなら「期間工」の選考試験を受けてもらう。※さすがに正社員で全員を無条件に雇うことはありえない。能力はともかく選考試験を飛び越えると組織がおかしくなる。
ちなみに、選考試験で最初から面接をする必要はない。
希望者全員にSPIなどの筆記試験で充分。そこで普通の採用基準をクリアしている人だけを面接すればよい
派遣の受け入れ時、SPIなどの適性試験はできない。しかし、正式に雇用するのであれば採用試験を受けてもらうのは当然。1000人いれば50人近くは能力も高く、仕事もできる優秀な人材がいるわけで、わざわざ外部からリスクを冒して雇わなくてもいいんですよ。
ただし派遣社員の雇用主はあくまで派遣元。
そんな話をすれば「では採用者の人材紹介料を支払ってくれ」と言ってくるだろう。
※紹介料が年収の30%であれば、50人×120万円=6000万円。そうなると普通に募集をした方がはるかに安い。
しかし、そうしておけばここまでメディアに露出することもなかったかもしれません。
とにかく、労働者には職業選択の自由があるので、今の派遣社員が「自分の意志」で期間工の募集に応募すれば、合格しやすいのではないか?(少なくとも採用した実績があれば)
そうすると紹介料云々の話もなくなるし、キヤノンとしては願ったりかなったりというわけです。
とにかく、物事は一方だけから見たらだめですね。
今回の件は
派遣元会社など派遣の仕組み
派遣社員
実は高い派遣社員の人件費
派遣社員→期間工へなぜシフトしようとしているのでしょうか?派遣社員の給与が安い安いと言われていますが、企業が派遣元会社に支払っている金額は異常です。
そこから派遣元が取り分を取って派遣社員に渡すのです。
派遣社員の給与は、受け入れ側では調整できません。すべては派遣元が決めています。
さらに、 内のお悩み相談フォームから相談があったのですが
経営的に結局赤字になったとか・・・
しかも高いからと言って契約解除をしても、次は採用活動をまた一から教育しなおしです。
福岡でも事務の派遣社員を雇おうとすると時給1500円や1700円くらいかかります。
(当然、本人の取り分はこの額より下がる)
普通にパートで募集すると900円払えば、相場より高い方です。
計算
派遣元会社に払う時給が1500円として正社員と同じく1日8時間×20日間+残業1日1時間とした場合、20時間×1500円×1.25= 37,500円
合計:月275,000円を派遣元に支払います。
(そこからの本人の手取り額は派遣会社によりさまざま)
ちなみに、これが東京ですと、時給2000円くらいを派遣元に支払ったりします。
上記と同じ計算をするとこうなります。
20時間×2000円×1.25= 50,000円
合計:月370,000円です。
(1年間契約したら444万円です。ワーキングプアになるのは果たして受入先が悪いのでしょうか?)
(ボーナスを含めると別)
しかし、企業が派遣会社を活用する理由は一つです。
金は高いけど必要な時に必要な人員を派遣会社が確保してくれるから
だから高い金を支払っているわけです。
今回のような問題が起これば起こるほど、高い金を払い、契約解除時ももめるのであれば派遣から離れていく企業が増えそうですね。
追伸:
ちなみに、キャノンではなくキヤノンです。
追伸2:
採用の裏側を知りたいならこちらをダウンロード
こんにちは。
こんな長い記事を読んでいただきありがとうございます。
ほんと福岡では基本的に派遣は無しですよね。
大企業や、大手の冠がついた子会社でもない限りどう考えても費用対効果が見込めないのと、去っていく以上、結局は将来の人材戦略が立てられませんからね。
自社の採用力を鍛えることがどれだけ会社のためになるのか皆さんも気づいてもらいたいものです。
書き込みありがとうございました!!
また、テレビを見ていると、「正社員と同じ仕事をしていた」と仰る姿を見ますが、本当にそうでしょうか。このような理論で、正規雇用しろと話題になった方もいますが、正社員には正社員なりの仕事と責任があることを理解しているようには見えません。そのような基本的な事もわきまえられない理論しか構築できない人員を正社員として抱えておけるほど、安直な戦いをしている企業はないと思います。
キヤノンでは中途採用の募集を行っており、現に自分の周りからキヤノンさんへ転職した技術者もいます。(何時かは問題となってはいけませんので、言いませんが、最近です)
一方で当社でも派遣社員や期間社員さんを契約/雇用していますが、概してではありますが、正社員として雇用するにはあまりにもレベルが低いのが現状です。
また、過去のことを持ち出したくはありませんが、一般派遣が始まったころ3日でこなくなったり、「責任なんてまっぴら」と公言して憚らなかったのは「派遣」です。このような事がきっかけで一般派遣が始まったころにくらべると、派遣を受ける会社側が「派遣」のムラ気や我儘に対応して変化してきたのです。つまり、今のようなドライな関係を望んだのは「派遣」さんのほうです。
この年末に寒空へ放り出されることについては同情もしますが、その矛先を派遣元ではなく派遣先の企業に、それも、あたかも派遣先の企業が悪いような勢いで詰める姿には共感どころか、反感を禁じえません。
コメントありがとうございます。
たぶんこのブログをご覧いただいている
会社員のかたはポジさんの意見に賛成でしょう。
要は、現場の現実を知っているかどうかですよね。
今回の件で、法的にはキヤノンは悪いことはしていません。
企業経営のために派遣という制度を活用したのみです。
問題があるとすれば「ニュースになるようなヘタをうったこと」ですね。
要は、広報担当と人事担当者の問題。
ニュースは法律と関係ありませんからね。
>仕事を準備できない派遣元が非難されることがあっても、派遣先が非難の対象になるのはおかしいと感じます。
→この件は、保坂氏など社民党も人気取りのためかうやむやにしていますが、
おっしゃるとおり問題は「派遣元」にあることを世間を含めて気づくべきです。
どのメディアも派遣元を叩いたりしません。
メディアというのは一瞬で悪者を作ります。
恐ろしいものです
法令遵守とか以前に企業モラルが欠如してます。
派遣元は最後まで抵抗してくれましたよ。
しかし、契約満了前にバッサリ切られました。
非正規は全滅です。
解雇予告手当払うから辞めてくれ・・・だそうです。
コメントありがとうございます。
>企業モラルが欠如してます。
→ なるほどですね。もっとモラルが欠如している会社を無数に見てきているので私は多少感覚がマヒしてきているかもしれません。
派遣社員を採用する≒労基法を守る意思はある
という感じです。
>派遣元は最後まで抵抗してくれましたよ。
→ いい情報ありがとうございます。
偏見かもしれませんが、派遣の裏側も知っている以上、
どうしても「自社利益」を考えての行動では?
と思ってしまうところもあります。
営業の人はそうでないとしても、会社としてお勧めできる派遣会社は少ないのが本音です。
「彼らの仕事はどうなるんですか?」ではなく、自社で何とか次の仕事を探すのが派遣元の役目だと思ってしまいます。
>派遣社員の皆様
採用コンサルタントとしては、派遣社員を続けるのではなく正社員への転職活動を常にされることをお勧めします。
http://www.sr-inada.jp/c/q-jin.html
このようなサイトで求人情報はいくらでも見つけられます。
ただし、受かるためには何をしなければいけないのか?どうやれば書類合格するのか?面接で合格するのか?を事前にしっかりと計画だてないとなかなか転職は難しいのでお気をつけください
(数撃ちゃ当たるはマズイですから)
今老人介護の現場は未曾有の人手不足。更に医療機関もおなじ。更に、農業、林業も平均年齢65歳以上。
製造業以外では、いくらでも働くところがあります。
特に老人介護は資格を取れば正社員にまずなれます。
コメントありがとうございます。
派遣切りにあった方々は、確かに需要と供給のバランスが
崩れている分野を狙うと言うのは一つの手ですね。
でも、大事なのはその仕事にやりがいをもってやれるのか?
かもしれませんね